後生大事(ごしょうだいじ)。
靴や下駄は使えばちびる。
できれば、擦り切れてなくなるくらいまで使いたいもんだ。
という変なこだわりがある。
ある時、中国で4ヶ月ほど暮らすという機会があった。詳しい話は省略するけど、絵の勉強のために、爺さんになってから学生暮らしをしたのだ。何もかも珍しい楽しくてしょうがないという日々だった。
どこへいくのも、基本は歩いて土地を覚える、そういう気持ちだった。1日2万歩、3万歩、当たり前、この時のために新しい靴を用意していったけど、終盤になって靴底が減って穴が空いてしまった。あとちょっとやのに。
困ったもんだ。
履きやすいし、気に入ってたんで買い替える気がしない。何とかならへんやろか。
この町には靴の修理屋さんがある。昔、日本でもよくあったやつだ。街角に屋台を出して、修理してはる。うまいこと通じるかどうかわからんけど頼んでみよう。
大きな穴が空いてるし、サイドが剥がれかけてる。踵もかなりすり減ってる。
果たしてできるやろか。
やってみると言うてくれた。ばっさり削ってあたらしい靴底を貼っつけていく。
まるで外科手術みたい。現物合わせで削っては直し、削っては直し、最後にピタリとくっついた。
さすが、うまいなあ。
わずかなお金で完璧に元通り。ありがたい。
これは、日本に持ち帰って、完全に履き潰した。
とことん使い倒すって好きやなあ。
またある時。
外に出かける時とか、車を運転するときは靴やけど、普段の暮らしで下駄を愛用してる。
家の近くをうろうろするときは冬場でも下駄だ。5本指の靴下を愛用してるんで冬でも下駄をはける。
下駄はちびる。
履いてるうちに歯がどんどん減って来る。
そのうち歯がなくなってきて、ほとんど板になる。
それでも履いてると、板の部分もすり減って薄くなってくる。
最後はほぼ数ミリの板になる。
こうなったら意地になる。板でもなくなるまではいてやろう。
さすがにそうはいかん。かろうじて板の形をしてるうちにパリッと割れた。
さすが寿命ですなあ。とうとうほとんど形がなくなるまで使い倒した。
また、新しいのを買った。これはどこまで履けるやろう。
せこいですなあ。
どこまでも。
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