壁掛け時計の修理

我が家に古い壁掛け時計がある。
私の結婚祝いに同僚達がプレゼントしてくれたものだからもう30年以上経ったものだ。
壁掛けだからかなり大きい。1メートル以上ある。大きいから邪魔だ。
「こんなんいらんわ」と家族に顰蹙を浴び続けながらも長年キープしてきたやつだ。
ねじ巻き式で、一回ネジを巻いたら、20日くらいたって又ネジを巻く。
面倒だがそれがかわいいやつだ。振り子がゆっくり動いているのをみるのはなかなか
いいものだ。
定時がくると、「ボーン」と音がなる。なかなか良い音だがちょっとやかましい。
30分に一回、「ポン」と音がなって、定時が来ると時間分「ボンボン」と鳴るのだ。
と言う事は、夜が遅いほどいつまでも鳴っていると言うことになって実にうるさい。
小さい家ではかなりこたえる。それで音だけは止めてある。
音のネジをまかないようにしているのだ。
こうやって長い事暮らしてきた。
ところが、人も年をとるが、時計も年をとるのだ。
見かけは変わらないが、中身が弱ったのだろう。とうとう動かなくなってしまった。
それでも捨てるわけにはいかん。
それで時計屋を探した。が、記憶をたよりに街の時計屋をいくつか当たってみたが
どこにも時計屋の姿がない。街の時計屋さんがいなくなってしまっていたのだ。
それでも直したい。しかたがないのでデパートに行ってみた。
「えらい古い時計でんなあ。こりゃあメーカに出すと新しいのを買うほどとられますよ」
「えらいこっちゃ、なんとかなりまへんか?」
「うちでやってみましょか。半額くらいでいけると思いますよ」
何かテキヤのおっちゃんと話してるみたいやなあ。
それでも金額的にはかなり高いと思うけど、街の時計屋さんがなくなってんならしょうがない。
「よろしゅうたのんますわ」
それで修理が終わった。
チクタク順調に動いてる。「やっぱりええなあ」
「ボーン」
「あれっ音が鳴ってる」
修理のおっちゃんが音のネジも巻いてたんやなあ。このネジを使いきるまでは、ちょっと
多めに酒を飲んで寝やんとあかん。

tokei110103

毎週月曜はこだわりのモノの話です。

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