オルハン・パムク、「赤い髪の女」。
ノーベル賞作家で、結構追いかけして読んでる作家は少ないけど、この人は
何となく追いかけている。ストーリーの展開がとても魅力的だ。
それと、まだ行ったことはないんやけど、イスタンブールの街の人々の暮らしが
生き生きと立ち上がるようでとても行ってみたくなる。
ジェムという男の物語。あるいはオイデプス王の物語の再現か?
父を殺し母と結ばれる男の物語?
今は成功した実業家。しかし彼が背負う暗い闇とは?
ジェムの父親は左翼思想の活動家だ。ある日子供をおいて出て行ってしまった。
何故?
子供はアルバイト井戸掘り職人の弟子になる。
マムフト親方の下、アリと3人で穴を掘る日々、穴のそばでテント暮らしの日々。
いつまで立っても井戸水が出ない。親方はジェムをまるで息子のように大事に
してくれる。
時々、仕事場のある高台から麓のオンギョレンの街へ息抜きに行く。その時
出会った赤い髪の美女に心を囚われた。忘れられない。
彼女は旅芸人の女か? 劇団が演じるのはオイデプス王の物語をもじったやつ?
それが彼らをおびき寄せる闇の世界なのか?
父はいったい何者なのか?
そしてある日、事件が起こる。えらいことだ。ジェムは人殺しなのか?
赤い髪の女とは一体何者なのか?
イスタンブールの裏街で何が起こった。
月日が流れる。心の闇は晴れない。
そして、ある出来事が彼を井戸掘りの現場に引き寄せる。
あの時何があった? アラック酒の幻影か?
赤い髪の女の呪いか?
とても面白い。
朝井まかて、「グッドバイ」。
頃は幕末。場所は長崎。維新前の激動の時代の話。
伝説の女商人、大浦慶の一生を描いた物語。
長崎の街に代々続く油屋、大浦屋がある日、火事に遭った。
店は壊滅的な打撃を受けてしまった。父はどこかに逃げてしまった。兄も一緒だ。
残された娘、お希以は番頭、弥右衛門と手代、友助の助けを借りて
細々と店を再開する。苦しい商いが続く。このままではあかん、何かで打開をせんとあかん。
何とか西洋人と商売する手立てはないか?
ある日、チャンスらしきものが訪れた。出入りの料亭のおかみを通じて
オランダ役人の若者に茶葉の見本を渡すことができたのだ。
果たしてこれがチャンスになるか?
待てど暮らせど返事はこない。3年待った。突然反応があった。
見本を預けたテキストルの伝手で、イギリス人ヲルトが接触してきた。見本はとても
好評であったらしい。アメリカに売るために1000斤用意できるかと言う。
さあ、ビジネスが始まった。えらいことだ。どこで調達しよう。
幸い嬉野の茂作に助力してもらうことができた。茶葉の処理工場も必要だ。
ここから躍進が始まる。お希以あらてめ、大浦慶の活躍が始まる。
外人相手のビジネスは簡単ではない。こちらにもあちらにも様々な障害がある。
それでも挫けない。長崎には討幕、維新の志士達も集まっている。
彼らとの交流もある。
波乱万丈の生涯が立ち上がる。
とても面白い。
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ありがとうございました。