九度山暮らしのある日、ある日、突然、ガン患者になってしまった話−11、退院の日が来た。

退院の日が来た。

ある日、朝飯を食ったあとボッーっとしてたら急に騒がしくなった。何やら部長回診が
あるという。暫くすると、何やら爺さんぽい、偉いさんぽい人を中心にお付きをゾロゾロ
したがえて大名行列とまではいかんけどやってきはった。昔、テレビか映画でみたことあるなあ。
「古っ」って思った。わしの主治医も固くなりつつ紹介してくれた。
「あっそう」という感じで通り過ぎてく。
「アハハ」
後で主治医の方が来たときに、「そろそろ退院ですか?」って聞いたら、「今月末を
過ぎたらいつでもいいよ」って言ってくれた。経過は順調らしい。
「それなら今月末(9月末の事)にしますと日を決めた。
やったー。とうとう退院できる。
退院中止にならんようそれまでお利口にして過ごさんとあかん。
ちゃんと食う。痛みなし。排便、ガス順調。熱その他異常なし等々だ。
頑張ってもどうにもならんこともあるけど一応順調らしい。
てなこと、その日を明日に控えた最終日。
飯食いは順調。

血液検査やレントゲン検査をやっとかんとあかんらしい。
看護師さんが順番をとってくれて自分で行く。
昼飯も順調だ。

しかし、ちょっと心配なことがある。
明日、退院って言うのに、盛り上がりがない。退院したらどうせいこうせいとか
生活の注意とか、次の検診はいつやとか、どうのこうのとか、なんもない。
このまま明日を迎えて、何となく去っていったらええんか、それではあまりにも
不安ではないか?
何もないまま夜を迎えそうなんで思い切って看護師さんに聞いてみた。
あんまり気にしてはらへん。
退院前の食事指導の予約は手配してくれた。これが一番大事ということなんやろね。
退院後の最初の検診は主治医に聞いておくとのこと、それでほぼ1ヶ月後に決定。
お風呂なんかはどうすんの? 「しばらくシャワーだけやろね」、後で主治医に聞くと
「湯船に浸かってもええよ」とのこと。
よう考えたら他に聞くこともない。
一番大事なことを忘れてた、「お酒はどうですか?」
「しばらくはやめといたほうが良い」
まあそやろね。
わしの手術のことはもう終わったことになりつつある。嬉しいような寂しいような。
では、さいごの晩飯を食おう。

明日からは自分で考えて食うことになる。
で、いよいよ退院の日。
朝から普通にくらして、食事指導の時間。管理栄養士と会う。
特に柔らかいものを食わんとあかんとか、刺激物があかんとかそんなんはなくて
普通の食事で良いとのこと。時間をかけて良く噛んで1/3になった胃の働きを補助する
のが大事、強いて言えば消化のよいものを食ったらよいということ。
3度で食べるのが難しかったら4度、5度にわけて食べたらええということ。
大体わかってたことを確認する。
お酒もやっぱりしばらくはやめた方がええらしい。カフェインがあるコーヒーも
しばらくは避ける。
そんな感じだ。
終わったら荷物を持ってさっさと帰る。

何となく愛想なしやけど、病院の中はとても忙しい。だれもわしにかまってる暇はない。
来た時と同じようにそっときてそっと帰る。
誰にともなくさよなら、ありがとうと言ってエレベーターに乗る。
駐車場に言って、来た時と同じように車を運転して帰る。
お腹がちょっとゴワつくけど何の問題もない。
自分で自分に退院おめでとうって言う。

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ありがとうございました。