九度山暮らしのある日、ある日、突然、ガン患者になってしまった話−9、お医者さんも忙しい。

お医者さんも忙しい。

毎日忙しく患者の様子をチェックしてまわってるのは看護師さんたちだけではない。
それぞれの患者の担当医師さんも様子を見に回っている。
手術したら、その時の担当麻酔医さんや、執刀医さんも様子を聞きにきてくれた。
結構ケアがしっかりしてる。
各患者夫々病気によって、当たり前やけど担当医が違う。同じ担当医の患者が近くに
集められてるというわけではない。そやからいろんなお医者さんがあっちに行ったり
こっちに行ったり、結構忙しそう。
もちろんわしのとこにも来はる。
わしの場合、多分面倒な話はないんで、「どうですか?」、「はい順調です」という
会話くらいだ。食う、寝る、便通、痛み、位の質疑はあるけど、簡単に終わる。
一応傷口を点検する。腹腔鏡手術ということで所謂開腹手術はしてない。お腹に
3センチくらいの穴を6箇所くらい開けて、そこからいろいろ道具を突っ込んでやったらしい。
見てへんから知らんけど。

幸い、手術直後から痛みを感じたことはない。時々傷跡がチクチクするくらいだ。
それを見て、「いいですね」と満足気やから順調に行ってるらしい。体重を測ってみたら
手術直前に比べて5kgほど減っている。その割にはお腹がぽっこり出たままで、傷跡だけ
めり込んでるという感じだ。その5kgてどこが減ったんかがようわからん。
手術でダイエットは無理やということだけわかる。ダイエットで痩せたら薄皮を剥ぐみたいに
全体がすっきりしていくんやけどボコボコ体型はそのままやからいつかこの体型にしっかり
肉がついていって元に戻るだけのことなんやろと思う。
10kgくらいは痩せることもあるという話もあるんでこれからどうなるんやろ?
先生は痩せないよう注意して下さいって言うてる。
順調な人にはあんまりかもてくれへん。
さっさと次へ。
順調でない人の話も漏れ聞こえてくる。これは違う先生の担当だ。
結構深刻な話だ。最近は、だいぶ前からかもしれんけど癌やからと言って本人に隠したり
することはないらしい。これからの治療計画らしいけど、本人が納得するよう丁寧に
説明してはる。本人も知識豊富らしく、どの薬をどう飲んだら自分に合ってるなんて
意見をいいながら、抗ガン剤から放射線治療に至るまで詳しい話し合いだ。
わしは聞きたいわけではないし、無理に聞き耳たててたわけではないけど聞こえて
しまう分にはしかたない。それにしてそんな話、こんな態度で聞いてられるもんかと
感心した。もしわしやったら、オロオロうろたえてショックで落ち込んでとても
冷静には聞いてられへん。なんでもええから宜しく頼んますと布団かぶって寝てる
くらいのことしかできへん。
しかも、ある日、事件が起きた。夜にナースコールがあったらしく看護師さんが様子を
聞いている。どうも突然片手が効かんようになったけどすぐに回復したらしい。
どうやらすぐに先生に連絡がいったらしく、速攻で現れた。そして、急遽MRIやらなんやら
検査ということでバタバタしてはる。一体何ですか?って聞きに行くわけにもいかんで
わしも寝たふりをしてる。
何かわからんけど、ちょっとしたことでも何かの引き金になっていて専門家にはピンと
くるらしい。結果的にはようわからんけど、事なきを得た、かどうかもわからんけど
最悪の事態ではなくてすんだらしい。
こんなピリピリした暮らし、耐えられへんわって思う。
近日中に手術を控えてビクビクしてはる人もいてる。気持ちはようわかる。
退院を翌日に控えてるのに食事の度にゲーゲーしてはる人もいてる。
あんなんでも退院できるんやね。
わしはどうなるんやろ?
心配しても始まらんからひたすら歩く。

それでもとても暇だ。
普段からあんまりテレビを見る習慣がないんですぐに飽きる。
くだらんワイドショーばっかりやんか。
見応えがあるんはラグビーの試合くらいだ。
LANケーブルのアダプターを買って行ったんでネットはやり放題。
しかし、老眼鏡が要るんで長くやったら目が疲れるし、長々とやるネタもあんまりない。
毎日がとても暇だ。

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ありがとうございました。