映画、「ふたつの祖国、ひとつの愛〜イ・ジュンソプの妻」を見た

すばらしい映画だ。
見終わった後でじっくりと感動がこみ上げてくる。
イ・ジュンソプと言う夭折した韓国の画家と日本人の妻のドキュメンタリーだ。
現在、92歳という山本方子さんが登場する。イ・ジュンソプの妻だ。
彼らは戦時下の日本の美術学校で出会い、恋に落ちる。そして彼の故郷、韓国
(今の北朝鮮の元山)に渡って結婚する。
日本との戦争は終わったけど、今度は挑戦で南北の戦いが始まった。そんな時
代に、絵が売れるわけがない。売れない画家との暮らしは厳しい苦難の道であ
った。それでも自らの芸術の追究を求めて、食うためだけの身過ぎ世過ぎをよ
しとしない暮らしは家族を困窮のどん底に追い詰める。元山からソウル、済州
島、釜山へ、そしてとうとう妻と子を日本に送る。
今とは違って、当時の連絡の手段は殆ど手紙しかない。
ドキュメンタリーの中で、韓国の暮らしの後を静かにたどる方子さんの淡々と
した語り口と、愛と思いやりに溢れた二人の手紙がとても対照的だ。
極貧の暮らしの中で、絵を描きながら、妻と二人の子どもに愛情溢れる手紙を
送り続ける。そしてとうとう体を壊してしまう。
そして死んでしまう。
韓国と日本が国交を回復していない時代、韓国の人が日本に来るのが非常に難
しかった時代だ。
恥ずかしながらイ・ジュンソプという画家の事は知らなかった。
この映画で出て来る作品を見ただけだ。
それだけでも、とても心惹かれるものがある。
力強くてしかも優しさに満ちている。そしてどこか哀しい。
こんな絵が描けたらなあって思う。
特に家族に送った手紙にある絵が言葉以上に愛に溢れている。
彼にもうちょっとだけ時間があったらもっと素晴らしい絵を描いていただろう
と思わせる。
方子さんと、イ・ジュンソプに関わった人たちが淡々と、ぼそぼそと語り続け
るだけのドキュメンタリーなんやけど、何故かどんどんと引き込まれて最後ま
で一気に見てしまった。
物静かな方子さんの存在感がすばらしいと思う。
哀しいけど爽やかな映画を見させて頂いた。
是非劇場でご覧下さい。

eiga150209

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ありがとうございました。