西東三鬼、「神戸・続神戸・俳愚伝」
すごい本、強烈な人生、すさまじい生き様。
おどろいた。
シンガポールでビジネスを学んだ元歯科医にして先鋭なる俳人が何の因果か、
戦時下の神戸三宮に流れ着いた。金はないしあてもない。どこに泊まろう。
こういう時は妖しげな飲み屋に行くに限る。そこのマダムや出入りの女達が
定宿にしてるところがあるにちがいない。それでたどりついたのが、通称、
「国際ホテル」と呼ばれる妖しげなホテルだ。エジプト人やら台湾人やら、
ドイツ人やら、いかにも危なげな外国人と何癖もありそうな女達が出入りす
る。それでいて売春宿ではない。
センセイと呼ばれる俳人と気の良い支配人、そして戦時下の狂騒と混乱を、
哀しく、凄まじく、たくましく生きていく人たち。
外国語の達者なコスモポリタンにしてデカダンでダンディズム満タンなよう
でどろどろの修羅場めぐりの日々。
いやあ実におもしろい。
さすが俳句の名人。短編の中に躍動する人々が実に魅力的だ。
家庭も仕事も何もかも捨ててひたすら俳句に生きる事ができる人がいるとい
うのが凄い。俳句ってそういうもんやったんかと刮目する思いだ。
「国際ホテル」は戦災で焼けてしまったそうやけど、後年、彼らが蟠踞した
と言う山手の異人館、「三鬼館」ってまだ残ってるんやろか。
あるなら行ってみたいものだ。
上野誠、「書淫日記」
西東三鬼を何で知ったかと言うと、この本を読んで知ったのだ。
知り合いの人の文を読んでいて、万葉集の大家と言うのに引っ掛かって読んで
見たくなった。万葉と言えば、「犬養孝」って頭の中に刷り込まれてたけど、
今はこういう人が新しい流れを作っているのかと思いながら読んでいた。
なるほどと思う事も多いが、同意しがたいなと思う事もある。
ただ、話題作りと話のうまい人手あるのは確かだと思う。
特にこの本の中で紹介されている本はそれぞれ魅力が一杯なように思えた。
読んでない本は、できればどれも読んでみたい。
上記の本もその一冊だった。
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ありがとうございました。