最近読んだ本、「写楽 閉じた国の幻」、「夢をまことに」

  • 2015年8月4日
  • 1人
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島田荘司、「写楽 閉じた国の幻」
写楽の大首絵の複製はわしも持って居る。あの迫力は素晴らしい。
一つは奴江戸兵衛というやつで、もう一つは市川團十郎やと思う。最初のやつ
がすごい。目を真ん中に寄せてぐいっと見栄を切っているまさにその瞬間だ。
目の周りの赤い隈取りが漲る力をより際立たせている。ぎりぎりと歯を食いし
ばり、両の手は触れたらはじきとばされそうだ。バックは雲母でべた塗りして
地味な黒がぎらぎらしている。こんな絵を当時の欧米人が見たら驚いたやろな
あって思う。歌麿や広重、北斎たちとは又違った魅力があるのだ。
しかし、写楽って誰? ということになると謎に満ちている。
突然現れて、一瞬の光を放って、忽然として消えた。
記録は何もない。
本当にその名の人がいたのか?
誰かがその時期だけ写楽を名乗っていたのか?
色んな説があって、いろんな本に描かれている。時にはテレビのドキュメンタリー
番組になって、いろんな解説者が出てきてまことしやかにそれなりの結論に導
こうとする。しかし未だに説得力のある回答がでていない。
それにしても、浮世絵の素晴らしさを作ってるのは一体何なんやろ。
下絵が凄いから?、彫り師が素晴らしいから?、擂り師の技術?、全部併せた
工房の力?、プロデュースする人の力?
どうなんやろ?
この本は、作者のある仮設に基づいて作られた小説のようだ。
写楽の一生を描くというのではなくて、その謎を解こうとあがく一人の男の
ものがたりだ。確かにここで展開される仮設はとても興味深い。説得力もある。
なるほどと思う所が多々ある。それなら、そんな人の物語を書いて欲しかった
と思う。東大の美人教授がでてきて、日本語、英語、オランダ語で活躍しなが
ら男を助けるなんてわざとらしすぎる。
でも仮説は面白い。

hon150803-1

山本兼一、「夢をまことに」
昔、彦根の田舎に国友一貫斎という鉄砲鍛冶がいた。
尋常ならざる技を持っていた上に、止まるところを知らない技術者魂を持って
いた。開国直前の日本だ。外国から正規、不正規にいろんなモノが入って来る。
好奇心の任せて、手に入ったものをバラして再現しようとする。
そのために、知識が足りなかったり、材料が足りなかったり、技量が足りなか
ってりすれば全力で何とかしようとする。
そういう情熱にはやはりついてくる人がいる。
いくら名人でも一人では何もできない。
それに、助けてくれる人もいる。
お金を出して買ってくれるひと、情報を与えてくれる人、保護してくれる人。
色んな人の助けで、一貫斎は日本の天才発明家とも言える、様々なモノを創り
あげていく。
空気砲、六分儀、万年筆、反射望遠鏡等々だ。
そういう人の生き様を描いた物語だ。
とても面白い。
元技術屋としてはとても興味深い。
背景の理論も知らないのに、形をまねる事から初めて、そこに到達できること
が尋常では無い。
前に行ったことのある、岐阜犬山城の城主、成瀬家とも密接な関係があったよ
うだ。犬山城やその界隈に何か残っているんやろか?
知ってたらもっと興味深く見れたのに残念だ。

hon150803-2

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